TOEIC L&R テストで不正受験 集団カンニングの疑いも
IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は5月20日、お知らせにてTOEIC L&R テストでの不正受験に関する報道について声明を発表しました。NHKのニュースでも報じられた今回の事件。そもそも何があったのでしょうか。
この事件のポイントは以下の3つです。
1.中国籍の大学院生がTOEICを替え玉受験しようとして逮捕された
2.同容疑者による過去の不正を疑ったIIBCが警察に相談していた
3.替え玉受験だけでなく組織的な集団カンニングの疑いあり
1.中国籍の大学院生がTOEICを替え玉受験しようとして逮捕された
報道によると、警視庁は2025年5月19日、東京都板橋区のTOEIC試験会場(test center/test venue)に正当な理由なく侵入した疑いで、中国籍の大学院生(graduate student)(27)を建造物侵入容疑で現行犯逮捕したと発表した模様。TOEIC L&Rテストの試験日だった前日の5月18日(日)、板橋区の試験会場に現れた容疑者は、他人になりすましてTOEICを受験しようとしていたところを、IIBCからの通報を受けて駆け付けた警察官によって連行されたものと思われます。
TOEICテストの実施・運営を行うIIBCは、受験要領の中で受験者以外の者が受験者本人になりすまして試験を受ける不正行為(prohibited acts)について厳正な措置(stringent measures)(受験資格の剥奪など)をとる旨を記載しています。ただ、警察への通報については記載がないことから、今回の措置は極めて異例(extraordinary)であったと考えられます。
2.同容疑者による過去の不正を疑ったIIBCが警察に相談していた
ではなぜ今回の不正行為がIIBCによる受験資格の剥奪(disqualification)などの措置ではなく、警察への通報に至ったのでしょうか。それは、繰り返される(repetitive)看過できない悪質な犯罪行為の疑いがあったからだと考えられます。報道によると、同容疑者による替え玉受験は過去にも行われていた可能性があり、IIBCは2024年からこの件を警察に相談していたようです。「別の名前で受験を繰り返している同じ顔(identical face)の人物がいる」という引用(quote)から、IIBCは同容疑者を怪しい人物としてマークしていたものの、決定的な証拠がつかめずにいたことが窺えます。
一方、同容疑者は過去の替え玉受験の成功体験から「バレずにやれる」と思ったのか、報酬(reward/compensation/remuneration/honorarium)目当てに犯罪行為を繰り返すようになったと考えられます。このようなインテリ闇バイトをする輩は逮捕されて当然ですが、今後同じように不正行為をはたらく者が現れないとも限りません。テストの公平性を担保するためにも、IIBCとして新たな対策を講じる(take measures)必要があると言えます。
3.替え玉受験だけでなく組織的な集団カンニングの疑いあり
報道によると容疑者は、他人名義の学生証(student identification card)だけでなくマスク内に小型マイクを隠して来場しており、会場で他の受験者に解答を教える目的だった可能性もあるとのこと。そうなると、特定の人物(particular person)のためだけに行う替え玉受験という話にとどまらず、集団カンニングの疑いがでてきます。今回はテスト前に逮捕されて未遂に終わったとは言え、同容疑者がこれまでにその手口でカンニングを行っていたとしたら大問題(big issue/serious problem)です。当日、容疑者と同じ教室で受験予定だった約3割が欠席したようですが、TOEICのような大規模試験ともなると実際に申し込んでいても当日欠席する人は一定数いて空席(empty seats/vacant chairs)は目立つため、欠席者が全員カンニングに関与しているとは考えにくいです。ただ、状況を考えると(given the circumstances)欠席者の中に共犯者(容疑者からマイクを通して解答を教えてもらう側の人物)が少なくとも一人はいたと考えるのが自然でしょう。それか、共犯者は当日会場にいて、プランBでそのまま(自力で)受験して何食わぬ顔で帰った可能性もあり得ます。
容疑者は「お金が欲しくてアルバイト(part-time job)を探していた。呼び出された都内の駅で偽造の学生証を渡され、会場も指示された」「報酬目的だった」などと供述していることから、この容疑者に替え玉受験やカンニング行為を指示した人物がいて、組織的な犯罪の可能性があります。今後の捜査でどこまで実態が明らかになるのか注目です。
ソース記事
NHKニュース
日本経済新聞オンライン
読売新聞オンライン
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