第390回 公開テスト(午前) 重要文法のおさらい
1. some artwork(不定代名詞/決定詞/数量形容詞)(860レベル)
someは、可算名詞だけでなく不可算名詞も修飾することができます。
💎some water(いくらかの水)
💎some money(いくらかのお金)
💎some information(いくらかの情報)
このsome は「漠然とした量(an unspecified amount)」を表します。量が多い場合はa lot ofやmuch、plenty ofを使い、量がほとんどない場合はlittleを使って修飾するため、someは「少ない量」から「決して多くはないある程度の量」までを漠然と表します。
では、次の場合はどうでしょうか?
💎some merchandise(いくらかの商品?)
💎some artwork(いくらかの芸術作品?)
日本語だと、商品や芸術作品は1点、2点・・・と数えることができるので、「いくらかの商品」や「いくらかの芸術作品」という表現には違和感がありますが、merchandiseとここでのartworkは不可算名詞(集合名詞)なので、「商品や芸術作品というグループ(集合体)の一部」として捉えていると考えればよいでしょう。
さてここからが本題です。買い物客が手に取っている1つの商品や、展示されている1点の絵画を指して、some merchandiseやsome artworkと言うことはできるでしょうか?
答えはyesです。先ほど不可算名詞を修飾するsomeは「少ない量」から「決して多くはないある程度の量」までを漠然と表すとお伝えしましたが、1つの商品や1点の絵画は「少ない量」にあたると考えることができます。
💎The man is examining some merchandise.
(男性が商品を調べている)
💎Some artwork is on display.
(絵画が展示されている)
someは訳さないのがポイントです。ただし、someから「量についてはフォーカスせずに漠然とぼやかしている」ことを読み取る必要はあります。
ちなみに、artworkは可算名詞で使うこともできます。
💎Some artworks are on display.
(いくつかの絵画が展示されている)
可算名詞を修飾するsomeも「数についてはフォーカスせずに漠然とぼやかす」のは同じです。ただ、artworksが複数形である以上、1点の絵画を指してsome artworksと言うことはできません。2点以上(more than one)の絵画について述べていると解釈します。
2. just so you know(慣用表現/省略)(860レベル)
just so you knowは「念のために言っておくと、一言申し上げておくと」という意味で、文頭/文末に置いて使います。
💎Just so you know, the meeting starts promptly at 9 A.M.
(ご存知のとおり、会議は午前 9 時に開始されます)
💎That isn’t my decision, just so you know.
(念のため言っておきますが、それは私の決断ではありません)
文末に置いて使うのは、「結論(ここではThat isn’t my decision.)を先に言いたい」または「発言した後、語気を和らげたい」場合です。例文では、just so you knowを添えることで自分には責任がないことをやんわり伝えています。
では、ここで使われているsoは副詞でしょうか、それとも接続詞でしょうか?次のヒントをもとに考えてみてください。
just so you know
= (this is) just so (that) you know
正解は「副詞(だが、接続詞と考えることもできる)」です。just so you knowでは「目的を表すso that構文」のthatが省略されています。よって、上記の質問はso that構文のsoが副詞なのか接続詞なのかを尋ねているのと同じことになります。so that構文のsoは副詞、thatは接続詞なので「副詞」が正解なのですが、thatを省略した場合は「soがthatの機能(役割)も担う」と考えることもできるので(解釈の問題)、用法上soを「接続詞」と捉えることもできます。
💎Just so you know, the meeting starts promptly at 9 A.M.
= This is just so that you know: the meeting starts promptly at 9 A.M.
💎That isn’t my decision, just so you know.
= That isn’t my decision, and this is just so that you know.
3. ad(略語)(600レベル)
adは名詞で、advertisement(宣伝、広告)の略語です。動詞のadd(加える)との混同に注意してください。
💎We’re launching a new ad campaign next month.
(私たちは来月新しい広告キャンペーンを開始します)
💎Have you seen the job ad posted on their Web site?
(彼らのWebサイトに掲載されている求人広告をご覧になりましたか)
adと同じように、TOEICに登場する略語には次のようなものがあります。
app・・・application(アプリ)
lab・・・laboratory(実験室、研究室)
auto・・・automobile(自動車)
rep・・・representative(担当者)
vet・・・veterinarian(獣医)
limo・・・limousine(リムジン)
expo・・・exposition(博覧会)
perks・・・perquisites(手当、特典)
略語が使われる理由は、長い単語を短く使いたいからです。ここで紹介した略語は、リスニングとリーディングのどちらでも登場します。この機会にぜひまとめて覚えておきましょう。
4. motivated vs. motivational(形容詞/派生語)(860レベル)
motivate(〔人〕に動機付けする、〔人〕にやる気を起こさせる)の形容詞には、motivational、motivated、motivatingの3つがあります。この3つはどう使い分ければよいのでしょうか?そのカギは、動詞であるmotivateの語法の理解にあります。motivateは「人」を目的語にとって次のように使います。
💎The store manager motivated Ms. Ito to work harder.
(店長は伊藤さんにもっと一生懸命働くよう動機付けをしました)
「人」を主語の位置に持ってくると次のようになります。
💎Ms. Ito was motivated to work harder by the store manager.
(伊藤さんは店長からもっと一生懸命働くよう動機付けをされました)
つまり、motivatedは「人」について述べる形容詞であり、上記例文のように叙述用法で使うことも、motivated employees(やる気にさせられた従業員)のように限定用法で使うこともできます。このmotivatedを、motivationalやmotivatingで置き換えることはできません。
✖ Ms. Ito was motivational to work harder by the store manager.
✖ Ms. Ito was motivating to work harder by the store manager.
motivationalとmotivatingは「モノ・事」について述べる形容詞で、次のように使います。
💎Her words were so motivating that I started studying again.
(彼女の言葉がとても励みになったので、私は再び勉強を始めました)
💎He gave a motivational speech to the team.
(彼はチームに激励のスピーチをしました)
motivatingとmotivationalは次のように使い分けます。
motivating ⇒ when talking about how something makes you feel
motivational ⇒ when talking about what something is intended to do
5. deals vs. dealing(名詞/派生語)(730レベル)
dealには「取引、契約」という意味もありますが、TOEICでは「お買い得(品)」という意味で頻出します。『TOEIC®L&R テスト 英単語・熟語ワードツリー』(旺文社)のP363を見てください。
このように、「お買い得(品)」という意味のdealは、bargain、steal、best buyなどで言い換えることができます。
💎Really? It’s a deal.(本当に?それはお買い得だね)
= Really? It’s a bargain.
= Really? It’s a steal.
= Really? It’s a best buy.
💎The store is offering great deals.
(その店はお買い得商品を提供しています)
一方、動詞のdealにingが付いた、動名詞のdealingには「取引すること、取引」という意味はありますが、「お買い得(品)」の意味はありません。
💎He has experience in business dealing.
(彼には商取引の経験があります)
dealとdealingの意味の違いは大事なので、しっかりと押さえておきましょう。
6. get/bring someone up to speed(慣用表現/第5文型)(990レベル)
get someone up to speedまたはbring someone up to speedは、「人に最新情報を伝える、人に必要な知識を身に付けさせる」という意味を表します。文法的には、get O C(OをCの状態にする)またはbring O C(OをCの状態にもっていく)のCの位置に形容詞句のup to speedが入っています。
up to speedは、もともと「(車や機械が)必要なスピードに達して」という意味でしたが、現在では比喩的に「(人)が最新の情報を持って、必要な知識レベルに到達して」という意味で使われます。
get/bring someone up to speed
give someone the latest information or knowledge about something
💎I’ll get you up to speed on the project during our next meeting.
(次回の会議でプロジェクトの詳細をお知らせします)
💎We hired a new assistant, so we need to bring her up to speed on our procedures.
(新しいアシスタントを雇ったので、彼女に私たちの手順をしっかり理解してもらう必要があります)
関連して押さえておきたい表現に、walk someone throughがあります。この表現は第344回 公開テスト(午前) 重要単熟語のおさらいで取り上げているので、そちらをぜひご参照ください。
7. receipt(名詞/可算・不可算)(730レベル)
日本語のレシートには「領収書」の意味しかありませんが、英語のreceiptには「領収書」と「受領」の2つの意味があります。文の中でreceiptが可算名詞として使われていれば「領収書」、不可算名詞として使われていれば「受領」になります。
💎We will send a receipt via email after your purchase.
(ご購入後に領収書をメールでお送りします)
💎The company issues receipts for all online transactions.
(その会社はすべてのオンライン取引に対して領収書を発行します)
💎Upon receipt of your application, we will review it carefully.
(お申し込みを受領次第、慎重に審査させていただきます)
💎We confirmed receipt of your payment.
(〇お支払いの受領を確認いたしました)
(✖お支払いの領収書を確認しました)
同様に、TOEICに登場する「可算(C)・不可算(UC)で意味が異なる名詞」には次のようなものがあります。
読解に関わる大事な知識ですので、しっかりと押さえておきましょう。
いかがでしたか?ではまた次回もお楽しみに!
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