2021年のTOEIC® L&R 公開テスト実施回数は26回(個人で受験できるチャンスは最大で13回)

IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は2021年1月27日、プレスリリースにて2021年度のTOEIC® L&R 公開テストのスケジュール変更(増回)を発表した。もともと予定されていなかった7月、8月にテストが行われることで、今年の公開テストの実施回数は過去最多の26回となる見通しだ。ただし、現在公開テストは新型コロナウィルス感染予防の観点から会場に入れる受験者数を制限して同日2回(午前の回、午後の回)に分けて実施しており、1人が同日にその両方を受験することはできない(どちらか一方だけに申し込める)仕組みになっているため、個人の受験可能回数は年間で最大13回となる。これまでは年間最大10回であったことを考えると、たとえ3回であっても受験できる機会が増えることは特に進学・就職・転職のために公開テストのスコアが必要となる人たちにとって朗報だと言える。

2021年 TOEIC® L&R 公開テストスケジュール(全26回)
① 1/10(日)午前:第260回 午後:第261回
② 2/28(日)午前:第262回 午後:第263回
③ 3/21(日)午前:第264回 午後:第265回
④ 4/25(日)午前:第266回 午後:第267回
⑤ 5/23(日)午前:第268回 午後:第269回
⑥ 6/20(日)午前:第270回 午後:第271回
⑦ 7/11(日)午前:第272回 午後:第273回
⑧ 8/22(日)午前:第274回 午後:第275回
⑨ 9/12(日)午前:第276回 午後:第277回
⑩ 10/3(日)午前:第278回 午後:第279回
⑪ 10/24(日)午前:第280回 午後:第281回
⑫ 11/28(日)午前:第282回 午後:第283回
⑬ 12/19(日)午前:第284回 午後:第285回
参考:IIBCホームページ「2021年度TOEIC®Listening & Reading公開テスト受験地別日程一覧

2019年まで年10回実施だった公開テストが2021年は年26回実施と2.6倍に増えた背景には、新型コロナウィルスによる2020年の3月、4月、5月、6月の公開テストの中止が影響していると考えてよいだろう。

2020年 TOEIC® L&R 公開テスト実施状況(結果)
① 1/12(日)第247回
② 3/8(日)第248回(中止
③ 4/12(日)第249回(中止
④ 5/24(日)第250回(中止
⑤ 6/28(日)第251回(中止) ※イベントとして「TOEIC公式みんなで模擬受験」を実施
⑥ 9/13(日)第252回(受験人数を制限して実施) ※定員制の導入(申込殺到のため予約受付開始日にサーバーがパンク)
⑦ 10/4(日)第253回(受験人数を制限して実施) ※先行申込受付を実施(サーバーが増強されるも一般予約受付開始日に再びパンク)
⑧ 10/25(日) 午前:第254回 午後:第255回  ※午前、午前の2回制の導入 ※抽選制の導入&キューイングによりアクセス数を制限/平準化
⑨ 11/15(日)午前:第256回 午後:第257回
⑩ 12/6(日)午前:第258回 午後:第259回

また、2020年10/25の公開テストから導入された1日2回(午前・午後)のテスト実施の運用の目途がたったことも大きな要因だと考えられる。公開テスト再開時の9/13、10/4のオンライン申込受付開始時には、それまでの度重なるTOEIC中止による反動で受験を希望する申込者が殺到し、アクセス集中によりサーバーが応答しなくなるという事態に陥った。しかし、10/25の公開テストの申込みからIIBCはこの状況を改善することに成功したと思われる。その要因として考えられるのは次の3つだ。

①テスト実施を午前、午後の1日2回制にした
②抽選制を導入し、「早い者勝ちの椅子取り合戦」から「期間内であればいつでも申し込め、抽選により公平に受験資格が与えられる仕組み」に変えた
③サーバーの増強&キューイング(待機時間経過後に申込サイトへ誘導)により予約時のアクセス集中によるレスポンス低下を解消させた

現在では申し込みたいのに申し込めない、受験したいのに受験できないという声はほとんど耳にしない。一方、感染予防策を講じたうえで1日に2回テストを実施するというのは、会場数を増やしたり長時間会場を押さえなければならいことに加え、試験官の人件費もかさむことから、IIBCは同プレスリリースでアナウンスしている通り、TOEIC® S&W公開テスト、TOEIC® S公開テスト、TOEIC BridgeⓇ S&W公開テストの受験会場数と実施回数の削減という決断をせざるを得なかったものと推測される。

2021年度公開テスト受験会場数&実施回数の削減
TOEIC® Speaking & Writing 公開テスト
➡石川、静岡、愛媛、沖縄での実施を休止
TOEIC® Speaking 公開テスト
➡1日の実施回数を4回→2回に削減
TOEIC BridgeⓇ S&W 公開テスト
➡神奈川・愛知・兵庫での実施を休止

TOEIC® L&R 公開テストでの収益減はIIBC(ETS)にとっては大きな痛手と考えられるため、2021年の公開テスト実施回数を26回にして受験機会を増やすとともに、そのための運営体制を整えたことは適切な対処策であったと言えそうだ。公開テストの2回制はコロナが落ち着くまでの暫定措置だと考えられるが、今後はその間いかに安心して受験できる環境、サービスを提供できるかが課題になってくると思われる。

まず思いあたる課題点は、試験当日の受付時間の短さだ。新型コロナウィルス対策としてこれまでにない入場規制、検温などを行っている以上、受付時間を従来の30分から45分に増やさないと予定通り試験開始時刻に試験を開始することはできないように思われる(少なくとも私がこれまで受験した午前回のテストは一度も予定通りに開始していない)。理由は受付に手間取っているからだ。試験官は常に対応に追われていて、試験開始時刻の変更を受験者に告げないままもともとの試験開始時刻を迎えるというありえないミスにもつながっていた。これでは受験者は安心してテストを受けることはできない。早急に改善が求められる。今後TOEIC® L&R 公開テストがどのように運用され改善されていくのか注目していきたい。

最後に、日本以上にTOEIC大国である韓国でのTOEIC® L&R 公開テストの状況を見ておこう。今年韓国では日本と同じく年間で26回公開テストが実施される予定だが、日本のように午前・午後の回に分けずに、2週間に1回(試験時間は10:00-12:00で統一)のペースで行われるようだ。受験しようと思えば個人で年間最大26回受験できる仕組みになっているともいえる。衝撃的というか、さすが韓国である。

韓国)2021年 TOEIC® L&R 公開テストスケジュール(全26回)
1.第425回 1/9  10:00-12:00
2.第426回 1/24 10:00-12:00
3.第427回 2/7 10:00-12:00
4.第428回 2/21 10:00-12:00
5.第429回 2/28 10:00-12:00
6.第430回 3/14 10:00-12:00
7.第431回 3/28 10:00-12:00
8.第432回 4/11 10:00-12:00
9.第433回 4/25 10:00-12:00
10. 第434回 5/9 10:00-12:00
11. 第435回 5/23 10:00-12:00
12. 第436回 6/12 10:00-12:00
13. 第437回 6/27 10:00-12:00
14. 第438回 7/11 10:00-12:00
15. 第439回 7/25 10:00-12:00
16. 第440回 8/8 10:00-12:00
17. 第441回 8/22 10:00-12:00
18. 第442回 8/29 10:00-12:00
19. 第443回 9/12 10:00-12:00
20. 第444回 9/26 10:00-12:00
21. 第445回 10/10 10:00-12:00
22. 第446回 10/24 10:00-12:00
23. 第447回 11/16 10:00-12:00
24. 第448回 11/21 10:00-12:00
25. 第449回 12/05 10:00-12:00
26. 第450回 12/19 10:00-12:00
YBMホームページ「2021年TOEIC定期試験日程」より