第392回 公開テスト(午前) 重要文法のおさらい
※この記事で紹介する内容は、一部『TOEIC®L&R テスト 英単語・熟語ワードツリー』(旺文社)をベースにしています。
1. Why don’t you ~?(疑問文)(730レベル)(ワードツリーP383)
疑問文の中には、相手に質問する体裁をとりながら実質的には提案・勧誘・申し出をしているものがあります。例えば、TOEICでは以下の3表現が頻出します。
Why don’t you ~?(~したらどうですか〔提案〕)
Why don’t we ~?(~しませんか/~しましょう〔勧誘〕)
Why don’t I ~?(私が~しましょうか〔申し出〕)
この中で、今回はWhy don’t you ~?にフォーカスしてみます。
Why don’t you ~?は直訳すると「なぜあなたは~しないのですか?」ですが、反語的に「~したらどうですか?」と相手に提案する表現です。
💎A: I’m sure we could sell more items if we advertised more widely.
(より広域に宣伝すれば商品はもっと多く売れるだろうと確信しています)
B: Then, why don’t you share your ideas with others at the meeting tomorrow?
(であれば、明日の会議であなたの考えを他のみんなに共有してみたらどうですか)
ただし、場合によっては直訳の「なぜあなたは~しないのですか?」の意味で使うケースもあるので注意が必要です。
💎A: Why don’t you sign up for the subscription?
B: Because it costs a lot.
TOEIC Part 2の問いかけでWhy don’t you ~?が出てきたら、「提案」だけでなく「理由の確認」の可能性も視野に入れて、それぞれに対する応答を待ち構えることが大事です。
さて、ここからは余談です。上記疑問文は相手の返事を期待するものですが、疑問文の中には相手の返事を期待しないものもあります。そのような疑問文は修辞疑問(文)と呼ばれます。多くの場合、自分の意見を反語的に述べることで印象付けたり、皮肉さを際立たせることができます。
Who knows?(誰にもわからないよ)(直訳:誰が知っていようか?)
Who cares?(そんなのどうでもいいよ)(直訳:誰が気にするの?)
Who cares?はスラングだとWho gives a shit?(そんなのクソどうでもいいことだ)ですが、これはTOEICには絶対出ません。
ワードツリーでは「Chapter 3 口語表現」の中で「反語表現」として、How could you miss this?(この機会をお見逃しなく)と、What are you waiting for?(何をもたもたしているの?/お急ぎください)を取り上げています。
💎We’re holding an annual sale starting this Friday and everything will be off the regular price! How could you miss this?(今週金曜日から毎年恒例のセールを開催し、全てが通常価格から割引になります!この機会をお見逃しなく!)
💎Green’s Gym members can get exclusive offers and enjoy excellent service. Not a member yet? What are you waiting for?(グリーンズ・ジムのメンバーは、会員限定の特典や優れたサービスを受けることができます。まだメンバーではありませんか?何をためらっているのでしょう?)
2. move A to B(前置詞)(600レベル)
「AをBに移動する」という極めて簡単な構文ですが、文法的に捉えると「Aを動かしてBに到達させる」イメージになります。これは前置詞のto(~に、~へ)が場所への到達を表すからです。
💎I moved the chairs that were used for the interview session to the corner of the room.
(インタビューに使用した椅子を部屋の隅に移動しました)
では、replaceを使う場合はどうでしょうか?日本語で考えてしますと「AをBに置きかえる」から「replace A to B」と言えそうですがこれは英文法的に誤りです。
✖ I replaced the cutting machine used in our factory to the warehouse in Denver.
(工場で使用していた切断機をデンバーの倉庫に置きかえました)
〇I moved the cutting machine used in our factory to the warehouse in Denver.
(工場で使用していた切断機をデンバーの倉庫に移動しました)
上記のreplaceを使った誤りの例文は、文法的に間違っているだけでなく、物(the cutting machine)と場所(the warehouse)の交換になるので意味的にもおかしいです。
「AをBに置きかえる」と言う場合は、「AをBで置き換える」と考えて「replace A with B」のようにwithを使います。
💎The factory replaced human workers with automated machines.
(その工場は人間の労働者を自動化された機械で置き換えました)
3. ~, each with …(副詞)(990レベル)
eachは代名詞、形容詞(決定詞)、副詞の品詞を持つ単語です。では、以下の例文のeachの品詞は何でしょうか?
This product has two accessories, each with a two-year warranty.
代名詞のeachは、each of ~の形かeach単独で主語(主部)や目的語として使用します。
💎Each of us must take responsibility.
(私たち一人一人が責任を取らなければなりません)
💎The students submitted their essays, and I reviewed each carefully.
(生徒たちはエッセイを提出し、私はそれぞれを注意深く審査しました)
形容詞(決定詞)のeachは直後に名詞をとって、その名詞を修飾します。
💎Each applicant will be interviewed separately.
(各応募者は個別に面接を受けます)
副詞のeachは、文末などに置いて以下のように使います。
💎The tickets cost $50 each.
(チケットの料金は1枚50ドルです)
💎The participants were handed a badge and a welcome bag each.
(参加者にはそれぞれバッジとウェルカムバッグが手渡されました)
では、冒頭のクイズの正解です。正解は副詞または代名詞です。
①副詞としての解釈
This product has two accessories with a two-year warranty each.
→This product has two accessories, each with a two-year warranty.
②代名詞としての解釈
This product has two accessories, each of which has a two-year warranty.
→This product has two accessories, each with a two-year warranty.
文末のeachをwithの前に移動させる①は、読み手に文意を理解しやすくさせるためにeachの前にカンマを入れています。eachを関係代名詞節の一部と考える②は、文法的には縮約関係詞(関係代名詞を含む関係詞節を短くした表現)の一種であり、通常は省略できないof whichを省略して、hasまで含めたof which hasをwithで置き換えていると解釈します。
💎This product has two accessories, each with a two-year warranty.
(この製品には 2つの付属品があり、それぞれ 2 年間の保証付きです)
4. can thus ~(副詞)(990レベル)(ワードツリーP213)
日本の英語教育ではほぼ学ばないthusですが、TOEICでは意外と登場します。まずはthusの意味を英語と日本語で確認してみましょう。
thus
①as a result of what you have just said(その結果、従って)
②in this manner or way(そのようにして、そのようなやり方で、そんな風にして)
ワードツリーでは①の意味を取り上げています。
thusは副詞ですが、文末で使用することはなく、文中か文頭で使います。
💎The new sign uses larger letters and thus is much easier to read.
(新しい看板はより大きな文字を使用しているため、格段に読みやすくなっています)
💎The company expanded quickly, thus increasing its market share.
(同社は急速に拡大し、市場シェアを拡大しました)
文中で助動詞と共にthusを使う場合は、thusを置く位置は助動詞の後ろです。
💎Our company is using a cutting-edge digital authentication system. We can thus protect customers’ private information.(当社では最先端のデジタル認証システムを使用しています。私たちはそのようにしてお客様の個人情報を保護いたします)
文頭で使うthusは、TOEIC Part 6の接続副詞の問題として出題される可能性がありますので、ハイスコアを目指す人はしっかりと頭に入れておいてください。
💎The company failed to meet its sales targets last quarter. Thus, they decided to revise their marketing strategy.(その会社は前四半期の売上目標を達成できませんでした。その結果、同社はマーケティング戦略を見直すことに決めました)
このThusは、他にAs a result, Consequently, Therefore, Henceなどで置き換えることができます。
5. adviceの語法(名詞)(860レベル)(ワードツリーP55)
adviceはinformationの一種であるため、不可算名詞です。an adviceやadvicesのようなかたちでは使いません。数を表したければa piece ofやa lot ofを使って以下のように表現します。
💎a piece of advice(1つの助言)
💎a lot of advice(多くの助言)
では「助言を与える」と言いたい時に、adviceと共に使う動詞は何でしょうか?正解はgiveまたはofferです。
💎give advice(助言を与える)
💎offer advice(助言を与える)
give/offerの代わりにmakeを使うことはできません。
✖ make advice
また、「~に助言を与える」と言いたい場合は、助言が相手に到達することを意識するため、前置詞toを使って次のように言います。
💎give advice to each member(それぞれのメンバーにアドバイスする)
6. 現在形/現在進行形で表す未来(時制)(730レベル)
「英語で未来のことを言い表したい場合、どうしますか?」という質問に対して、willを使うことしか思い浮かばない人は注意してください。英語で未来のことを表す方法には、大きく分けると以下の3通りがあります。
①willを使う
②動詞の現在形を使う
③動詞の現在進行形を使う
①の助動詞willを使う方法は説明するまでもないと思いますので、ここでは②と③について説明します。まず、②の「動詞の現在形を使う」から。次の例文を見てください。
💎We hold the convention next month.
(来月会議を開催します)
willは使っていませんが、未来のことについて述べています。動詞の現在形を使って未来のことを言い表すのは、習慣的・定期的に繰り返されることや、既に確定していて変更の可能性のない物事について述べる場合です。例えば、公共交通機関の運行スケジュールなどは次のように言い表します。
💎The first train leaves the station at 5 A.M.
(始発電車は駅を朝5時に出発します)
動詞にはbe動詞もあります。be動詞の現在形を使って未来のことを述べる表現は数多くありますが、TOEICで頻出するのは次の6つです。
be planned to do
be scheduled to do
be supposed to do
be due to do
be slated to do
be to do
💎I’m supposed to start work at 9 tomorrow.
(明日は9時に仕事を始める予定です)
💎The new policy is due to take effect next year.
(新しい政策は来年から施行される予定です)
💎The road repairs are slated to begin in May.
(道路の修理は5月に始まる予定です)
💎The meeting is to begin at 10.
(会議は10時に始まる予定です)
続いて、③の「動詞の現在進行形を使う」について説明します。現在進行形はその名の通り、何かが現在進行している状態を表す動詞の形です。一般的には今現在起こっていることについて述べる際に使用しますが、未来のある時点に向かって既に計画や準備が進んでいたり、未来のことをまるで今目の前で起きているかのように述べる場合には、現在進行形を使って未来のことを表すことができます。
💎The company is moving to a new office next spring.
(会社は来春新しいオフィスに移転する予定です)
💎I’m meeting my immediate supervisor at 3 p.m. tomorrow.
(明日午後3時に直属の上司と会う予定です)
現在進行形を使って未来のことを表す場合は、遠い未来というよりも近い未来について述べることが多く、特に個人的な予定を述べる際に好んでよく使われます。
7. roomの語法(名詞/可算・不可算)(860レベル)(ワードツリーP213)
日本語のルームには「部屋」の意味しかありませんが、英語のroomには「部屋」「スペース」「余地」の3つの意味があります。文の中でroomが可算名詞として使われていれば「部屋」、不可算名詞として使われていれば「スペース」か「余地」になります。
💎We stayed in a room with a beautiful ocean view.
(私たちは美しい海の景色が見える部屋に滞在しました)
💎Make some room on the shelf for these new books.
(新しい本のために棚にスペースを空けてください)
💎I believe there’s always room for improvement.
(私は常に改善の余地があると思っています)
TOEICに登場する「可算(C)・不可算(UC)で意味が異なる名詞」については第390回 公開テスト(午前) 重要文法のおさらいの中でも取り上げているので、ぜひご確認ください。
8. a <名詞A> and <名詞B> + <名詞C>(冠詞/修飾)(730レベル)
「a <名詞A> and <名詞B> + <名詞C>」の具体例には次のようなものがあります。
a coffee and pastry shop
a marketing and sales manager
a fridge and freezer unit
さて、この語句の解釈のポイントは、等位接続詞andが何をつないでいるかです。それぞれ正しい解釈と間違った解釈の訳をあててみましょう。
💎a coffee and pastry shop
(〇コーヒーと焼き菓子を売るお店)
(✖コーヒーのお店と焼き菓子のお店)
💎a marketing and sales manager
(〇マーケティング兼セールスマネージャー)
(✖マーケティングマネージャーとセールスマネージャー)
💎a fridge and freezer unit
(〇冷凍庫付きの冷蔵庫)
(✖冷蔵庫と冷凍庫)
つまり、「a <名詞A> and <名詞B> + <名詞C>」は、「a + <名詞C>」が表す1つの物・人に対して、「<名詞A> and <名詞B>」が<名詞C>を前から形容詞的に修飾しているという構造をしています。間違った解釈の訳のように2つの物や人について言いたい場合は、次のようにします。
💎a coffee shop and a pastry shop
(コーヒーのお店と焼き菓子のお店)
💎a marketing manager and a sales manager
(マーケティングマネージャーとセールスマネージャー)
💎a fridge unit and a freezer unit
(冷蔵庫と冷凍庫)
では、<名詞C>が不可算名詞の場合はどうでしょうか?
a request and background information
a report and expert analysis
<名詞C>が不可算名詞なので、不定冠詞aは<名詞A>だけにかかります。つまり、「a <名詞A> and <名詞B> + <名詞C>」は、「a <名詞A>」と複合名詞である「 <名詞B> + <名詞C>」をandが結んでいると考えられます。
💎a request and background information(要望と背景情報)
💎a report and expert advice(報告書と専門家の助言)
英文を正しく解釈するために、等位接続詞のandがつなぐ要素、不定冠詞のa/anがかかる名詞を素早く見極める目を養うことはとても大事です。
9. throughout vs. underneath(前置詞)(860レベル)
throughoutの意味を知っていて、underneathの意味もわかって、それぞれの前置詞が表すイメージを思い描くこともできるのであれば、何も悩むことはありません。
では問題です。以下の3つの文のうち正しいものはどれですか?
①Farmers grow produce throughout the valley.
②Farmers grow produce underneath the valley.
③Farmers grow produce at the foot of the valley.
throughoutが場所を目的語にとる時は「(場所の)至るところで(に)」という意味を表すので、農作物を栽培する場所としてthroughout the valley(渓谷の至るところで)という表現は全く問題なく、①は正しい文です。at the foot ofは「~のふもとで(に)、~の足元で(に)」という意味なので、同じく農作物を栽培する場所としてat the foot of the valley(渓谷のふもとで)という表現は全く問題なく、③も正しい文です。では②はどうでしょうか。underneathは「~の下で(に)」という意味なので、underneath the valleyだと「渓谷の下で(under the ground of the valley)」という意味になってしまい、不自然です。よって、正解は①と③です。
念のため、valleyの意味を英語で確認しておきましょう。
valley
an area of low land between hills or mountains, often with a river flowing through it
これを踏まえて、valleyのイメージ写真上で①のthroughout the valley、②のunderneath the valley、③のat the foot of the valleyが表す部分をそれぞれ示すと次のようになります。
throughout the valley(渓谷の至るところで)
実際には奥にもvalleyが広がっているので、正確にはvalley全域をカバーするように囲う必要がありますが、便宜上手前部分だけを囲っています。
underneath the valley(渓谷の下で)
渓谷の下、すなわち地中部分を指します。地下の農園で農作物を栽培していない限り②は不自然な文です。
at the foot of the valley(渓谷のふもとで)
at the foot of the valleyは赤線で囲った部分(at the lower edge or base of the valley)を指します。実際には奥にもvalleyが広がっているので、正確にはvalley全域をカバーするように囲う必要がありますが、便宜上手前部分だけを囲っています。throughout the valleyとほぼ同じエリアを指すと思ってください。
最後に、正しい文だけをもう一度記載します。
💎Farmers grow produce throughout the valley.
(農家は渓谷の至るところで農作物を栽培しています)
💎Farmers grow produce at the foot of the valley.
(農家は渓谷のふもとで農作物を栽培しています)
10. own vs. manage(動詞)(860レベル)
次の2つの文は同じことを言っているでしょうか?それとも全然違うことを言っているでしょうか?
I own this shop.
I manage this shop.
まず、ownとmanageの意味を英語で確認してみましょう。
own
to have legal possession of something
manage
to control, supervise, or operate something
ownは「所有」について述べており、manageは「経営、運営」について述べているので、2つの文が表す内容は全く異なります。
💎I own this shop.(私はこの店を所有しています)
💎I manage this shop.(私はこの店を経営しています)
ownとmanageの違いをまとめます。
ownerとmanagerの違いも同じです。
owner
the person or group that legally owns a business, property, or asset
manager
someone who is hired to run or oversee part or all of a business or team
💎I’m the owner of this shop.(私はこの店の所有者〔オーナー〕です)
💎I’m the manager of this shop.(私はこの店の経営者〔マネージャー〕です)
💎I’m the manager of the personnel department.(私は人事部長です)
ownerとmanagerの違いをまとめます。
同一人物がお店や会社を所有し経営している場合は、次のように言い表します。
💎Mr. Park owns and manages the restaurant.
(パーク氏はそのレストランを所有し、経営しています)
💎Mr. Park is the owner and manager of the restaurant.
(パーク氏はそのレストランのオーナーであり、経営者です)
ownとmanageの意味は異なる(同義語ではない)ということと、オーナー兼経営者でない限りはowner≠managerであるということを覚えておきましょう。
いかがでしたか?ではまた次回もお楽しみに!
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